こんにちは。
みなさんは付加年金制度についてご存知でしょうか?
はじめて聞いたという方も多いのではないかと思います。
付加年金はリスクが低いにも関わらず、将来もらえる年金額を簡単に増やすことができる強力な制度です。
この記事では下記を説明しています。
・付加年金制度って何?
・どれぐらい将来もらえる年金が増えるの?
付加年金とは
付加年金とは、毎月納める国民年金に付加保険料(月額400円)をプラスして納付することで、将来もらえる年金を増やすことができる制度です。
国民年金って何?という方は、先に下記の記事をご覧頂くとスムーズにこの記事の内容をお読みいただけると思います。
付加年金を利用できる方
付加年金は下記に当てはまる方のみ利用することができます。
- 第1号被保険者 (個人事業主やフリーランスの方)
- 任意加入被保険者 (60歳〜65歳の任意で国民年金に加入している方)
付加年金を利用できない方
下記に当てはまる方は付加年金を利用することができませんのでご注意ください。
- 第2号被保険者 (会社員や公務員の方)
- 第3号被保険者 (第2号被保険者に扶養されている方)
- 国民年金保険料の免除・猶予を受けている方
- 国民年金基金に加入している方
付加年金は厚生年金保険に加入できない個人事業主やフリーランスなどの第一号被保険者の方に向けた将来の備えとなる制度。
付加年金の計算方法
第1号被保険者の方は、毎月およそ16,000円弱の国民年金を自分で納付されているかと思います。(免除者を除く)
付加年金はこの国民年金の金額に毎月400円を加えて納付することで、「加えて納付した月数 × 200円」が老後にもらえる老齢基礎年金の金額に「毎年」プラスされます。
また、付加年金はどんなケースでも2年間納付すればそれまでに納めた金額の元を取ることができます。
実際の計算(2年で元が取れる理由)
実際に計算した方が分かりやすいと思うので、詳細は下記の例をご覧ください。
(なぜ2年間で元が取れるのか?)
個人事業主のAさん(30歳)は、国民年金の加入期間である60歳までの残り30年間、付加保険料400円を毎月納付した。
↓
【納めた金額(60歳まで)】
400円(毎月追加で納める金額) × 30年(60歳までの残り年数) × 12ヶ月(年数ではなく月数で計算する) = 144,000円
【もらえる金額(老後1年ごと)】
200円 × 30年 × 12ヶ月 = 72,000円
これは老後に毎年もらえる金額なので、2年間で元が取れることが分かります。
※72,000円 × 2年 = 144,000円(60歳までの30年間で納めた金額と同じになる)
原則的に年金は65歳から受け取ることが出来るので、2年後の67歳には既に付加年金の元を取ることが出来ています。
この例に限らず、何歳から付加年金を納めようが2年納めれば元を取ることが出来るので、付加年金を納める期間が長ければ長いほど将来もらえる年金額が増えることになります。
実際の計算(寿命による違い)
次は、前項のAさん(例題参照)が何歳まで生きたかによって将来もらえる金額がどのように変化するかを見ていきます。
70歳・80歳・90歳の3つの例を用意しました。
※50年後の平均寿命は男性が85歳、女性は90歳を超えると言われているのである程度現実的な数字になります。
寿命による金額差
前項の例より、Aさんが毎年もらえる付加年金の金額は72,000円であることが分かっている。
Aさんは65歳から年金を受け取ることにした。
↓
【70歳で亡くなった場合】
生涯もらえる付加年金の合計金額は、
72,000円 × 5年(65歳から70歳までの5年間) = 360,000円
360,000円(亡くなるまでにもらえる合計金額) – 144,000(亡くなるまでに納めた合計金額)
= 216,000円(お得)
【80歳で亡くなった場合】
生涯もらえる付加年金の合計金額は、
72,000円 × 15年(65歳から80歳までの15年間) = 1,080,000円
1,080,000円(亡くなるまでにもらえる合計金額) – 144,000(亡くなるまでに納めた合計金額)
= 936,000円(お得)
【90歳で亡くなった場合】
生涯もらえる付加年金の合計金額は、
72,000円 × 25年(65歳から90歳までの25年間) = 1,800,000円
1,800,000円(亡くなるまでにもらえる合計金額) – 144,000(亡くなるまでに納めた合計金額)
= 1,656,000円(お得)
この例から、長生きすればするほど老後にもらえる年金が増える(お得)であることが分かります。
※あくまでこの例題は毎月400円の付加保険料を「30年」納めたケースなので、納付期間が30年より短ければ老後にもらえる金額はこの例題よりも少なくなります。
付加年金は2年間納めるだけで元が取れてしまうお得な制度。
納付期間が長ければ長いほど老後にもらえる金額も増えていく。
注意点
①老齢基礎年金の受給要件をクリアする必要がある
老齢基礎年金とは、国民年金の納付により将来もらえる年金のことです。
この付加年金は老齢基礎年金の上乗せ部分となるので、まずは老齢基礎年金を受け取るための条件を満たさなければいけません。
老齢基礎年金を受け取るための条件は「受給資格期間10年以上」となります。
②障害基礎年金や遺族基礎年金と併用できない
この2つの年金は老齢基礎年金(国民年金の納付により将来もらえる年金)と併用することができません。
そのため、老齢基礎年金の上乗せ部分となる付加年金も、この2つには併用できないということになります。
※場合によっては、老齢基礎年金(+付加年金)を受け取るよりも障害基礎年金や遺族基礎年金を受け取った方がもらえる金額が増えることもあります。
この2つの年金については別の記事にて解説をさせて頂きたいと思います。
付加年金を受け取るための仕組みは国民年金に紐づいているので、国民年金のことをよく理解しておく必要がある。
申請方法
付加年金の申請は、お住まいの市区町村で行います。
※年金事務所では無いのでご注意ください。
手続きには、マイナンバーカードや運転免許証などの本人確認書類が必要となります。
付加保険料の納付は申し込んだ月から行うことができ、納付期限は翌月の末日となります。
また、納付期限を経過してしまった場合でも、期限から2年間は付加保険料を追納(後から追って納付)することができます。
まとめ
今回は付加年金について解説をさせて頂きました。
付加年金の仕組みは「毎月400円を追加で納めるだけ」と非常に簡単です。
厚生年金保険に加入できない第1号被保険者(個人事業主やフリーランスの方)にとって、付加年金は手厚い制度になります。
年間4,800円(400円×12ヶ月ぶん)の支出とはなりますが、リターンが非常に大きいのでとてもオススメです。
このようにあまり知られていない制度でもお得な制度はたくさん存在します。
老後にゆとりある生活ができるように、なるべく早く多くの対策を練っておくことが重要ではないでしょうか。
何をするにも塵も積もれば山となると思いますので、この機会にぜひ付加年金を実践してみましょう。